僕を壊したのは君だから。

やばい、床に倒れる。


そう思って目をぎゅっと閉じた瞬間、



朝比奈くんが間一髪、私を抱き留めてくれた。


「……っ、あぶな」



抱擁(ほうよう)感、意外とがっしりとした腕に、耳もとで聞こえる声。


……余計くらくらする。



「体熱すぎ……。宮岡さん体育の授業中から暑さにやられてたんじゃねーの?」


「え……?」



朝比奈くんは私を床に寝かせて。



「ぐったりじゃん。どうしようか……」



私の額に朝比奈くんの手のひらがぺたりと張り付いて、もっと熱くなった気がする。



「熱あるね……。俺そっち見ないし、服脱いだら」


「……服?」



脱ぐって……、いくら暗くても男子の……朝比奈くんの前でできるわけないよ。


そんな私に、朝比奈くんはため息をついて忠告する。



「恥ずかしがってる場合じゃないと思うけど」




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