僕を壊したのは君だから。
気を取り直して。


「……朝比奈くんの用事って何なの?」


可愛げのない声は、余裕ない私の精いっぱい。


私は、朝比奈くんの前で可愛くなれない。


こんな私に向く琥珀色の目は意味深に細まった。



小首をかしげる朝比奈くんは
まるで私を見透かすように、軽く笑う。



「……わかってるくせに」



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