僕を壊したのは君だから。
「まぁちょっと考えてみてよ。っと、そうだ。これ今日配られたプリント。宮岡さんの分」
本当にマイペース……。
「……ごめんね。わざわざありがとう」
丁寧に四つ折りにされていたのは数学の宿題だ。
「ほんと、わざわざだよ。俺んち遠いのに」
「そうなの?なのになんで朝比奈くんが……?」
「宮岡さんが友達いないから、セフレか恋人かの俺の名前が上がっちゃったんだよ」
「……う、ごめん」
って、待ってよ。
それは朝比奈くんが勝手に”そういう関係”っていう設定にしたせいなんじゃ……?
「とかいって。まぁ……会いたかったから来ちゃった」
ちらっと見ながら、決めゼリフ吐かないで。
ぜったいに動揺を悟られたくない。
こういうときしれっと聞き流す方法が、いまだにわかんないけど。
「……またわざとらしいこと言って」
「えー、本気なのに心外。好きな子に会えないのはやっぱ寂しいじゃん」
そんなこと付け足さないで、ばか。
……なんで言われた側の私がこんなに恥ずかしいの。
時間をかけて俯いていく私のことなんてお構いなく、朝比奈くんは呆れっぽく言った。
「でも友達はいたほうがいいんじゃないの?」
「う。それは、そうだけど……。なんかうまくできなくて」
これは本当に悩んでるから触れないでほしかったな……。
あたしは別に、1人を好んでるわけじゃないから。