僕を壊したのは君だから。
『俺めっちゃ汗かくけど借りていいの?』


『いいよ別に』


『めちゃくちゃ汚すかもしんないよ?』


『大丈夫、うちにはボールドがあるから』



泥んこになっておいで、なんて軽く笑う朝比奈くん。


……なんてフレンドリー、なんて親切なんだろう。



『いやちょっと待てよ。朝比奈も体育だろ』


『俺はお腹痛いから保健室に行かないと』


『サボり?チクっとくわ』


『あーお前恩をあだで返すタイプか』



楽しそうな声が離れていく。



制服のポケットに両手を突っ込んで男子たちと歩いていく朝比奈くん。


彼の周りはいつも楽しそうで。


中でもとにかく朝比奈くんに目が行って仕方なかった。


……あんな人になりたい。


そうだよ。友達って一生懸命作るものじゃないよね。


あんな風にいつのまにか出来てるものだよね?



朝比奈くんに、そんな答えを教えてもらった気がしたんだ。



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