僕を壊したのは君だから。

……わかんないよ。


君が私にこだわる理由なんて、ひとつも。



「じゃあ本題に入るけど。宮岡さんに質問。これは何でしょうか」



唐突に向けられたスマホの画面には、“月”という文字があった。


「……月」


「“つ”を“す”に変えてみて」


「す……、ッ!」き。



危ない。


まんまと告白させられるところだった……っ!



「……言わない」


「えー?」



朝比奈くんは「ばれたかー」と椅子にもたれながら伸びをして、天井をふり仰いだ。




「宮岡さん、手ごわいなぁ」



琥珀の瞳がスッと私を向いて、まんまとどきりとさせられる。


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