僕を壊したのは君だから。
はにかみながら歩いていると、すぐそばの側溝で小さな車輪が見えた。


かけよって引っこ抜いてみたら、これってスケートボードだ……!!



「……あった!!!」



思わず持ち上げて抱きしめたとき。


島田くんは少し離れたところから、私を見て。



「……あ。あった。って、なんだ。宮岡さんも朝比奈のスケボ探してたの?」


「あ……うん」


宮岡さん”も”ってことは、島田くんも朝比奈くんのために探してたのかな?

優しい人だなぁ。


「宮岡さん、言ってるそばからパシリじゃん。って俺もか」



頬をかきながら笑って、島田くんは首を傾ける。



「似たもんどうしかもね、俺達」


そうなのかな。


「島田くんも朝比奈くんにお節介とか言われる?」


「よくあるよー」


「そっか」


じゃあ、本当に似たもの同士なのかも。


「朝比奈ん家、うちの近所だからそれ届けとくよ」


「あ。そうなんだ。ありがとう」


スケボをそっと手渡した。


ずっと仲いいのかな。


家が近所ってことは、


「……ふたりって幼馴染なの?」


「あー、まぁそうだよね。腐れ縁っていうか。この高校に来たのも俺と朝比奈だけなのに同じクラス引いてるしね」


あははっと明るく笑う島田くんはなんだか嬉しそうで、朝比奈くんのことが大切なんだなってのが、見て取れる。


「宮岡さんは幼馴染いないの?」


「地元にはいるけど、全然会ってないなぁ……」


そこまで近所に住んでるわけでもないし、みんな高校遠いもんなぁ。



「え!?宮岡さん友達いんの!?」


びっくりした……。なんてオーバーリアクション。


朝比奈くん然り、ちょっと失礼な人だ。


「いるよ……。同じ学年の子は、全部で9人しかいないけど」


9人みんな大切。


「限界集落かよ。野球ひとチームしかできねぇじゃん……」


本当に失礼だ。

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