私たちの春は白
美容コースを選んでいたのに福祉コースに回されたこと,家に認知症のおばあちゃんがいること、介護なんて興味がないこと……。全てを話した。

「福祉コースにいるのに、介護なんて大嫌いなのよ!」

私がそう告げると、チェリーが「なら、きっとこれから好きになります」と私に笑顔を向ける。

「私の国では、家族を大切にします。おじいちゃんやおばあちゃんのお世話を家族がします。おじいちゃんたちは、とっても面白いです。葵もきっと、介護を好きになります」

無邪気に笑うチェリーに、「そんなことありえない」と言いたかったけど、なぜか口が動かなかった。

授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、みんなが席につくと同時に先生二人が入ってくる。一人は背の高い男性。もう一人は……気持ち悪いくらいニコニコしてる女性。

「さて!福祉コースを選んでくれた諸君!!私は福祉コースで主に座学を教える伊藤洋子(いとうようこ)だよ!!よろしく!!」

伊藤先生が無駄にハイテンションで喋る。私たちが反応に困っていると、男の先生が自己紹介を始めた。
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