私たちの春は白
第十三章 渚の奇跡
「海に行きたい」
おばあちゃんがそんなことを言うようになった。
今は十二月。真冬の海に連れて行ったら風邪を引いちゃうよ……。
「おばあちゃん、今は冬よ。もう少し温かくなってから行こう?」
私がそう言っても、おばあちゃんは「海に行きたい」と一日のどこかで何度も言う。そして、海に行こうと家を出ていこうとすることが多くなった。
「おばあちゃんは、おじいちゃんとよく浜辺を散歩したらしい。それをぼんやり思い出したんじゃないか?」
お父さんがそう言い、日曜日におばあちゃんを海に連れて行ってあげようという話になった。
「菊江、新しい友達だよ」
おばあちゃんは、お母さんがあげた人形で遊んでいる。最近、人形を集めるのがマイブームになっているみたいだ。私のテディベアも取られた。
「おばあちゃん、何かを思い出しているのかな?」
私の言葉は聞こえなかったようで、おばあちゃんは人形の髪を撫で続けていた。
そして迎えた日曜日。私たちは朝早くから車に乗り、おばあちゃんがおじいちゃんとよくデートした海へと向かう。
おばあちゃんが前に住んでいた場所は、家から三時間もかかる。海沿いの穏やかな町で小さい頃はよく遊びに行ってたっけ。
おばあちゃんがそんなことを言うようになった。
今は十二月。真冬の海に連れて行ったら風邪を引いちゃうよ……。
「おばあちゃん、今は冬よ。もう少し温かくなってから行こう?」
私がそう言っても、おばあちゃんは「海に行きたい」と一日のどこかで何度も言う。そして、海に行こうと家を出ていこうとすることが多くなった。
「おばあちゃんは、おじいちゃんとよく浜辺を散歩したらしい。それをぼんやり思い出したんじゃないか?」
お父さんがそう言い、日曜日におばあちゃんを海に連れて行ってあげようという話になった。
「菊江、新しい友達だよ」
おばあちゃんは、お母さんがあげた人形で遊んでいる。最近、人形を集めるのがマイブームになっているみたいだ。私のテディベアも取られた。
「おばあちゃん、何かを思い出しているのかな?」
私の言葉は聞こえなかったようで、おばあちゃんは人形の髪を撫で続けていた。
そして迎えた日曜日。私たちは朝早くから車に乗り、おばあちゃんがおじいちゃんとよくデートした海へと向かう。
おばあちゃんが前に住んでいた場所は、家から三時間もかかる。海沿いの穏やかな町で小さい頃はよく遊びに行ってたっけ。