私たちの春は白
第一章 暗い未来
私は須藤葵(すどうあおい)。M高校に通っている。今日から二年生だ。
春休みが終わった時って、みんな学校に行きたくないって思うんじゃない?でも、私は逆。学校が始まることがすごく嬉しい。なぜならーーー。
「葵、何怖い顔してるの?」
お母さんが私の前に味噌汁の入ったお碗を置きながら言った。
「だって!!」
私は声を荒げる。
「おばあちゃんがまた夜中に私の部屋に来たんだもん!!『葵ちゃん、朝ですよ』って」
私の目の前で食事をしていたおばあちゃんは、「葵ちゃん、おばあちゃんはそんなことしていませんよ」と笑う。忘れているのだ、昨日のことを……。
「葵、仕方ないだろ。おばあちゃんを責めるな」
不貞腐れる私に、社会人の翠(みどり)お兄ちゃんが言った。お父さんも「わかってくれ」と言いたげな目を向けている。私はため息をついた。
五年前、おじいちゃんが死んでから、おばあちゃんは物忘れが激しくなった。病院に行ったところ、認知症だと診断された。
春休みが終わった時って、みんな学校に行きたくないって思うんじゃない?でも、私は逆。学校が始まることがすごく嬉しい。なぜならーーー。
「葵、何怖い顔してるの?」
お母さんが私の前に味噌汁の入ったお碗を置きながら言った。
「だって!!」
私は声を荒げる。
「おばあちゃんがまた夜中に私の部屋に来たんだもん!!『葵ちゃん、朝ですよ』って」
私の目の前で食事をしていたおばあちゃんは、「葵ちゃん、おばあちゃんはそんなことしていませんよ」と笑う。忘れているのだ、昨日のことを……。
「葵、仕方ないだろ。おばあちゃんを責めるな」
不貞腐れる私に、社会人の翠(みどり)お兄ちゃんが言った。お父さんも「わかってくれ」と言いたげな目を向けている。私はため息をついた。
五年前、おじいちゃんが死んでから、おばあちゃんは物忘れが激しくなった。病院に行ったところ、認知症だと診断された。