私たちの春は白
四、誤嚥防止には、食べる前に口を開閉したり、顔面、首、肩の体操をすることも有効である。

五、介助する時は、利用者のペースに合わせる。

六、自助具などを活用し、自分で摂取できるようにする。

「先生!自助具って何ですか?」

結衣が訊ねると、「こんなので〜す!」と伊藤先生は持つところが太いスプーンや、取っ手のついた汁椀などを目の前に置く。

「自助具とは、体の不自由な人が日常生活動作をより便利にできるように工夫された道具のことです」

そして、食事介助の基本を教えてくれた。

食事をする時は、寝食分離(食べるところも寝るところを分けること)を可能な限り行う。最初に水分を飲み、口の中を湿らせる。むせやすい人は、汁物にとろみをつける。

「じゃあ、問題です!口の中でバラバラになって嚥下(飲み込むこと)しにくい食品は何でしょうか?ちなみに、一つだけじゃないからね〜」

伊藤先生はいつも突然問題を出す。まあ、もうすっかり慣れたんだけど……。
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