私たちの春は白
テレビのニュースでは、たびたび高齢化の話が報道されている。日本人の十人に三人が高齢者らしい。認知症の人の割合は約七人に一人で、2025年には高齢者の五人に一人が認知症になると報じられていた。

おばあちゃんが認知症になったとお父さんから聞いた時、私とお兄ちゃんは呆然となった。認知症なんて、今までニュースでしか聞いたことがなかったから。

おばあちゃんとは、今まで離れて暮らしていた。しかし、おばあちゃんが認知症と診断されてから一緒に暮らすようになった。徘徊をして行方不明にならないよう見守るため。

おばあちゃんと暮らし始めて、少しずつ私の生活は変わっていった。

おばあちゃんはどんどん記憶を失い、家の中をうろついたり、汚れた食器や下着を部屋に隠したり、夜中に起きて私に「朝ですよ、起きなさい」と言ったり……。

看護師だったおばあちゃんは仕事を辞め、おばあちゃんに付きっきりになった。介護福祉士のお兄ちゃんと、作業療法士？のお父さんはおばあちゃんをひたすら見守っている。
< 4 / 113 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop