私たちの春は白
第七章 見えない壁
おばあちゃんが私を忘れてもう二週間。時間が経つのが恐ろしく早いし、おばあちゃんが私のことを「夏子」と呼ぶことにも慣れたから、適応能力って恐ろしいと思う。
ちなみに夏子とは、おばあちゃんの妹。十歳の時に病気で亡くなっている。
死んでしまった十歳の子に見られているのはちょっと困るけど、本人が生み出す物語に参加するというのが認知症ケアの考え方だしね……。
まだお兄ちゃんたちのようにうまく接することはできない。でも以前に比べれば、おばあちゃんに普通に接することができるようになったと思う。
「夏子!そんな黒いものを飲んじゃ体にとても悪いよ!」
ちょっと目を離した間に、テーブルの上に置いてあったコーラが捨てられていた。
「おばあちゃん!これはジュースよ!」
「ジュース?でも真っ黒だし体に悪いんでしょ?」
そう言っておばあちゃんはテレビを見始めた。前の私ならとても怒っていたけど、今は自分でも驚くほど心が穏やか。
ちなみに夏子とは、おばあちゃんの妹。十歳の時に病気で亡くなっている。
死んでしまった十歳の子に見られているのはちょっと困るけど、本人が生み出す物語に参加するというのが認知症ケアの考え方だしね……。
まだお兄ちゃんたちのようにうまく接することはできない。でも以前に比べれば、おばあちゃんに普通に接することができるようになったと思う。
「夏子!そんな黒いものを飲んじゃ体にとても悪いよ!」
ちょっと目を離した間に、テーブルの上に置いてあったコーラが捨てられていた。
「おばあちゃん!これはジュースよ!」
「ジュース?でも真っ黒だし体に悪いんでしょ?」
そう言っておばあちゃんはテレビを見始めた。前の私ならとても怒っていたけど、今は自分でも驚くほど心が穏やか。