私たちの春は白
第八章 理解したい
土曜日、私は家族と一緒に隣の県へ出かけていた。理由はリフレッシュするため。おばあちゃんは昨日からショートステイを利用している。

家族による介護は二十四時間となり、精神的にも肉体的にもゆとりのない生活になってしまうことがあると授業で習った。だから、介護疲れによる虐待や殺人が起きるんだと思う。

リフレッシュをすることはとても大切だとお兄ちゃんが言っていた。だから、こうしてずっと前から行きたかったできたばかりのショッピングモールに来ている。

「お母さん、このスカート可愛くない?」

「あら、いいね。こっちのワンピースも素敵よ」

可愛い服やアクセサリーがたくさんあって、私は目を輝かせながらあちこちお母さんと見て回る。

「葵、買わないのに見る必要あるのかよ」

荷物持ちのお兄ちゃんが文句を言う。お兄ちゃんとお父さんの手には、お母さんと私が買った荷物でいっぱいだ。

「見るだけでも楽しいの!女心がわからないと彼女できないよ」

私がニヤニヤしながらそう言うと、「余計なお世話だ!」と返された。
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