私たちの春は白
また、膀胱などに障害がある人はストーマと言う人口の排泄口をつけているそうだ。

「テスト、しっかり勉強しておかないとね」

そう言いながら家の近くまで来た時、私は一人で立っているおばあちゃんを見かけた。家から飛び出したみたいだ。家の近くにいてくれたのがまだ幸いだったと思う。

「おばあちゃん」

私は恐る恐る声をかけた。おばあちゃんはどこか困った様子だ。

「どうしたの?」

私が声をかけると、おばあちゃんは困った表情のまま道を見つめた。

「スーパーに卵を買いに行きたいんだけど、どの道で行ったらいいかわからないの」

私は、おばあちゃんの手を優しく取る。温もりが優しく伝わってきた。

「お母さんが卵は買ってきてくれたよ。だから、一緒に帰ろう」

そう言うと、おばあちゃんは歩き出してくれた。私は話しかけながら、思う。

人は、全てを受け入れることはできない。でも理解したいという気持ちで、少しずつ変わっていく。

あなたを、理解したい。
< 63 / 113 >

この作品をシェア

pagetop