私たちの春は白
パスタを食べながらお母さんがお父さんに言う。私は、「あの後ちゃんとしたじゃん」と口を尖らせた。

「葵、きちんと勉強はしないといけないぞ。小学生じゃないからわかるだろ?」

お父さんが麦茶を飲み、言う。私は頰を膨らませ、言った。

「ちゃんとやるってば!それに、私は就職するつもりだし!!」

介護を学び始めて、美容師になりたいという気持ちは儚く崩れていった。それは、私が介護の勉強を楽しいと思っているからかもしれない。今さら美容学校へ行きたいとは思っていない。

「えっ?美容師の夢は?」

お父さん目を丸くする。当たり前だよね、進路の話とか最近してないんだから……。

「美容師はもうなりたいって思ってない。今は、就職したいって気持ちの方が強いの」

私はそう言い、パスタを食べる。お父さんたちは驚いたままだ。

幼い頃からずっと美容師になりたいって言っていたから、そんな反応をするのは想像できていた。私は気付かないふりをして食事を続ける。とても、おいしい。

「介護の仕事に就きたいのか?」
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