私たちの春は白
うつむく私にお兄ちゃんは力強く笑いかけた。

「とりあえず、お前はニコニコ笑え。それで利用者さんに挨拶しろ。職員さんにも挨拶を忘れるなよ」

「わ、わかった……」

三十分ほどで施設に到着した。三階建ての施設だ。隣には大きな総合病院がある。

「ここは、一階がデイサービスとリハビリの部屋がある。二階と三階が入所している人がいる部屋だ。二階がまだ認知症が軽い人、三階は重い人が入所してる」

お兄ちゃんから説明されながら、私は施設の中へと入る。花火の絵が飾られていた。

「施設には、利用者さんが季節を忘れないように季節に合わせた絵などを飾るんだ」

「へえ〜……」

その時、紺色のジャージを着た職員さんがやって来た。私は慌てて「おはようございます!」と挨拶する。

「おはようございます!実習生さんね?」

「は、はい!」

「お兄さんとそっくりね〜」

「え、そうですか?」

職員さんにロッカールームまで案内してもらい、着替えて荷物をロッカーに入れる。いよいよ実習スタートだ!

「今日は初日だから、見学がメインになると思う。利用者さんとコミュニケーションを取ったりしてくれ」
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