私たちの春は白
「ちょっと岡田さんのお尻のあたり、見てくれない?傷っぽいがあって……」

「わかりました」

お兄ちゃんとその職員さんは、岡田さんの部屋へと向かう。実習に来て、介護の現場では職員さんの連携がしっかりしているってことを学んだ。利用者さんの些細な変化も見逃さず、みんなで情報を共有する。

「須藤さん!今からおやつレクをするから手伝って〜!!」

「はい!」

職員さんに呼ばれ、私は長崎さんにお礼を言っておやつの準備を手伝う。今日のおやつはかき氷だ。シロップは利用者さんに決めてもらう。

「今日のおやつ、何?」

そう訊いてくる利用者さんに、「かき氷ですよ!!」と私は笑った。



入浴介助、食事介助、移動介助などをさせてもらいとても勉強になった。利用者さんとも仲良くなれた。でも、もう実習最後の日。早かったなぁ……。

「実は、今日で最後なんです」

実習に行くたびに話していたおばあちゃんに言う。今までのことが頭に浮かび、今にも泣いてしまいそうなのを懸命に堪えた。
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