私たちの春は白
「そういえば、今度の杉浦先生の介護技術の時間では、いつもと違うことをするって言ってたよ〜」

ぐったりしている私たちに、伊藤先生は言った。机に伏せていた太陽が顔を上げる。

「何するんですか〜?」

「秘密で〜す!」

伊藤先生がそう言った刹那、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

伊藤先生は、すぐに教室から出て行ってしまった。私たちは、互いに不思議そうな顔を見合わせた。



そして、杉浦先生の介護技術の授業の日がやって来た。私は詩織と教室に向かう。

「結局、今日まで何をするか二人とも教えてくれなかったね」と私。

「普段と違うこと……。新しい介助の方法でも勉強するのかしら?」と詩織。

「ええ〜……。大方勉強したと思うんだけどなぁ〜……」

詩織の真面目さに私は苦笑する。福祉の勉強は楽しいけど、テストが嫌だ。

「入浴介助はまだじゃない?」

「まあそうだけど、入浴介助なら着替えがいるでしょ」
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