私たちの春は白

しかし、どれも不正解。すると杉浦先生はヒントをまた出してくれた。

「エッフェル塔がある国だよ」

「フランス！！」

私たちは目を輝かせ、全員同時に答える。後ろから女性のクスクス笑う声が聞こえてきた。

「手話は、1760年に神父のミシェル・ド・レペが、偶然出会った聴覚障害を持った二人の姉妹の身振り手振りを見て、生み出したものなんです」

手話は、一時期は使うことが禁じられていたこともあったらしい。耳が聞こえないというだけで、仕事や結婚が自由にできなかった時代もあったみたい。

杉浦先生が手話の歴史などを話し終わった後、スーツの女性と男性に前に出てきてもらう。男性がニコニコしながら手を動かし始めた。

「みなさん、こんにちは。私の名前は上野卓です。今から一緒に手話を学びましょう。よろしくお願いします」

女性が男性の手話を通訳する。女性も自己紹介をした後、手話通訳者だと言った。

「まずは、基本の挨拶です」