私たちの春は白
「そんなわけないじゃない!!詩織におばあちゃんのこと、よく愚痴ってるし!」

確かに、第二希望に福祉コースと書いたかもしれない。でも、私は美容コースしか興味がなくてあとは適当に書いたのだ。

「美容コース、人が多くて何人か第二希望に回されたみたいよ」

そう言う詩織の言葉が、まるで死刑宣告のように感じる。

頭の中におばあちゃんが浮かぶ。私の大嫌いな介護。

私の人生は、一瞬にしてどん底に突き落とされたのでした。



「うう〜……行きたくない〜!」

新しいクラスとそれぞれが学ぶコースが発表された翌日から、早速授業が始まる。

私は重い足取りで、福祉コースの教室へと向かった。隣では詩織が「介護って楽しいのよ?」と言っているけど、私の耳には入ってこない。

私が福祉コースになったと言った時、お兄ちゃんたちは驚いていた。まあ、当たり前だと思う。だっておばあちゃんに優しくしたりしてないから。

専門の授業は一週間に八回。八回も英語や数学より嫌いな授業を受けなきゃいけないなんて……。
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