私たちの春は白
福祉コースを選択したのは、私を含めて七人。もうみんな教室に入って「授業楽しみ」と話している。

教室には、ベッドや車椅子がいくつも置かれている。大きな棚には、パジャマやおむつが詰められた箱がいくつも置いてあった。

暗い表情の私とは真逆に、詩織は目を輝かせている。自分の席に教科書などを置くと、みんなの輪の中に入っていった。

そのみんなが話している内容は……。

「俺、将来STになりたいんだ!」

「私は保健師!」

「PTを目指してるけど、OTもいいよな」

「現場で働くのもいいけど、社会福祉士とかケアマネジャーもいいよね〜」

はい、何言ってるかわかりません。まるで見えない壁に隔てられたみたい……。

すると、「あの……」と控えめに話しかけられる。私が顔を上げると、フィリピン人のクルーズ・チェリーと、小倉結衣(おぐらゆい)がいた。二人とは一年生の時、同じクラスだった。

「気分悪い?保健室?」

チェリーが心配そうにするので、私は「違うから!体は健康!」と理由を話す。
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