キスツス
「姫さまー!姫さま!!」
「お、お待ち下さい..!」
「どうして私は毎日追われなきゃいけないの!!!」
ハアハア、息切れしながら後ろの追手に向かって怒鳴る。
「それはあんたが毎日脱走しようとするからだ」
すぐそばから聞こえるその声にギョッとして隣をみると、余裕そうに走っている幼なじみでもある護衛兵のアラン。
「て、てめえが足速すぎて毎日脱走できねーんだよ!このク○が!!」
中指をたてながらグワっと睨む。
赤髪で身長も高く筋肉がついていて、顔も無駄にイケメンなこの男。
そう、毎日毎日他の兵は巻けるのにこの男だけは巻けずにわたしの脱走は失敗に終わる。
「昔からじゃじゃ馬だった誰かさんに毎日毎日連れ回されてたから体力だけはあるんでね」
その私の悲しい叫びはこの無駄に整った顔の男には届かず...よく見たら汗もかいてないな?!
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