お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
緑溢れるテラス席。



木漏れ日に照らされたウッド調の椅子や机は、森の中を彷彿とさせる。



そして、そこにはその場所に似つかわしくない少女が一人。



「あの·····こんなオシャレな場所、落ち着かないんですけど·····」



「心配しないで!可愛い沙那ちゃんにはこのお店がぴったりだよ♪」



「·····口説かれるために来たわけじゃありませんよ。」



「Euh·····(うーん·····)なかなか手強いな·····」



ちぇー、なんて言いながら頼んだアフタヌーンティーセットを物凄い勢いで平らげていく。



その脂質は一体どこへ·····解せぬ。



私は体型維持のためにコーヒーだけだというのに!



「お腹もいい感じで膨れたし、本題に行こうか。」



「そうですね。」



口をもぐもぐしながら真剣なトーンで話す尚さんはとてもシュール。



「実は俺さ·····」



その緊張感に思わず背筋が伸びた。



尚さんがこんなにも真剣になることって何だろう。



「昔フランスでモデルやってたんだよね。」


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