お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
「とりあえず今日はお祝いのパーティーだ〜!」



いつものハイテンションで私の周りをスキップでクルクルと回り出す。



「あの·····聞いてました?補欠合格ですよ?」

「補欠でもなんでも、合格は合格だよ!」



補欠合格でこんな喜んでいる人は世界中を探しても尚さんだけだと思う。これは断言できる。



尚さんの超楽観的な考え方に、尊敬の念さえも芽生え始めていたその時、尚さんが突然「あっ!」と声を上げた。



「沙那ちゃん携帯鳴ってない?」



そう言って私の上着のポケットを指さす。



······全然鳴ってる気がしないんだけど。



疑いつつもポケットに手を突っ込んでみると、かすかに震えるスマホ。



「······あ、本当だ。」



本人より先に気づくって何者······?



あまりの聴力の良さに驚きながらも携帯を取り出すと



······非通知!?死んでも出るものか!



というのも、以前パリピ共がイタズラ電話かけてきた挙句"マジで出たようける〜”と大爆笑された苦い思い出があるから。



あのことまだ引きずってるからな私は。



だから私は死んでも出な「はいもしも〜し!」



「なに人の携帯勝手に盗ってるんですか!」

「沙那ちゃんはいつまでもうじうじしてるから俺が出る!」



··········私の古傷<ruby>抉<rt>えぐ</rt></ruby>らせるつもり!?
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