お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
「盗聴って·····」



ブフォと豪快な笑いをしたのを私は見逃さなかったぞ!



·····まあ今回ばかりは、自分でもなかなかに見苦しい言い訳だったなと少し反省。



これは黒歴史入り確定だな。



「と、とりあえず!明日事務所に行ってきます。」

「俺も親友くんの手掛かり見つけついでに行こうかな〜。」

「げっ、来るんですか。」

「そんなゴミを見るような目で俺を見ないでよ·····」




だって尚さんと一緒なんて絶対面倒事に巻き込まれるやつじゃん。



そもそも女の子に声掛けまくって事務所まで辿り着けないなんて可能性も大いにある。




「断固拒否します。来ないでください。」

「え〜?特訓のお礼貰ってないんだけどな〜?」

「うっ·····それはずるいです·····」




その言葉を今出してくるあたり、この人はだいぶずる賢い。都合のいい時だけ使いやがって······



呆れてものも言えず、私は思わず大きなため息をついた。



「ついてくるのは勝手にしてください。でも、一つ条件があります。」

「条件·····?」



そう言うと、こてんと頭を傾ける。



······相変わらずあざといなアンタ!!
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