お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
一悶着ありながらも、案外すんなり入れてしまった私たち。



「顔の力ってすごいですね。」

「親に感謝だね〜」



······待って。尚さんと話してて気づかなかったけど、



四方八方どこを見回しても美男美女!!



アイドル、モデル、歌手······いつもテレビで見ている人たちが今目の前に······!



そんな夢のような光景に興奮が抑えきれないミーハーな私。



尚さんもこの中に混じっても違和感ないかも。



······なんてのんきに考えている間に、



『 え!なにあのイケメン!?新人?』

『連絡先教えて〜!! 』

『 今度一緒にご飯でもどう·····?』

「あはは、ごめんね。今日は彼女と来てて······」



案の定、尚さんは女の人たちに囲まれていました。



やっぱり。だから嫌だったのに······



······ん?なんか向こうでもザワザワしてる?



女の人たちの間を縫って様子を見てみると、尚さんの少し奥にも同じように女の人たちが群がっている輪が一つ。



しばらくするとその輪の中心から一人の男性の姿が。



······人がいっぱいで顔が見えない!!



その男の人はこちらに近づいてきているのか、どんどんと女性陣の黄色い歓声が大きくなる。



え!?そんなにイケメンなの!?



······っていけないいけない。ミーハー心はしまわなければ。



ナタを持って追いかけてくるファンの姿が私の脳裏をかすめて、なんとか冷静さを保つことができた。



しかしどんどんと大きくなる歓声に、とうとう私の耳が悲鳴を上げ始める。



頭にキンキンと響く高い声に、頭が割れてしまいそうだ。



······ああ、最悪だ。尚さん連れてきたのが間違いだった。



そしてついに、その歓声はピークに達する。



「あれ、ナオ?」
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