お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
「そう、"この"ちーちゃんだよ!」


「·····親友?やめろよー!照れるだろ!」




いい歳した大人がキャピキャピしている光景を、私はいったいどんな気持ちで見ていればいいのでしょうか。




「·····ごほん。」




わざとらしく咳払いをすると、さすがに察したのか急に大人しくなる二人。




「·····改めて確認するけど、沙那ちゃんってちーちゃんの妹?」


「おう!目に入れても痛くないほど世界一可愛い妹!」


「ダンスレッスンしてるときちーちゃんを思い出したのはそういうことだったのか·····」




尚さんは妙に納得した様子で私とお兄ちゃんの顔を見比べる。




「お前らこそなんで知り合いなんだ?」


「沙那ちゃんとはバイト先が一緒なんだ〜!」


「バイト·····?お前いつの間に日本に帰ってきてたのか!」


「まあそんな感じ!」




会話に入れずぽつんと置いてけぼりの私に気づいた尚さんは、すかさず私に話を振った。




「沙那ちゃんはこのシスコンちーちゃんのことどう思ってるの?」




この人、無意識に私の地雷踏んできたな。




··········でも、もう逃げたくない。




「お兄ちゃんは·····」




考えるよりも先に、無意識に口が動いていた。




「·····私が辛い時そばにいてくれなかった最低な人。」
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