お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
「えーっと·····」

「沙那·····。」



予想外の返答にしどろもどろになる尚さんと悲しそうな顔をするお兄ちゃん。



そうだよね。こんなこじれた関係だとは誰も思わないよ。



「ちょーっとちーちゃん?事情聴取するからトイレ行こうか!」

「は!?ようやく沙那に会えたんだぞ!離せ!!」



じたばたと地団駄を踏み、腕をブンブンと振り回すお兄ちゃん。



往生際が悪いぞ!さっさと連れていかれろ!



「俺ともせっかく会えたんだからじーっくり話し合おうよ〜。」

「俺は男とイチャイチャする趣味はねぇー!」

「沙那ちゃん!ちょっと待っててね!そこ動かないで!」



離せ離せと喚き散らす兄とその首根っこを掴んでトイレに連行する先輩。



······実にカオス。



ただ一番カオスなのは······




「「ねぇねぇ、千尋くんと一緒にいたイケメン誰!?」」

「「オーディションの子じゃない?」」

「「あれは満場一致で合格でしょ〜!」」



あの二人を見て沸いている女の人たちです。
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