お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
言いようのない気持ちをかき消すように、乾いた革靴の音が私の耳に届く。



音のする方に目を向けるとこれまたイケメンな人が歩いて·····というよりも私に向かって来てる!?



「そこのお嬢ちゃん。ちーちゃん見なかったかしら?」



··········なぜオネエ口調?というかちーちゃんって·····



きっとお兄ちゃんのことだよね。尚さんそう呼んでたし。



「その人なら男の人にトイレに連れ込まれてましたよ。」

「え!?なにそれめちゃくちゃおいしいシチュエーションじゃない!」



早く行かなきゃ〜!と言いながら猛スピードで奥のトイレに消えてゆく謎のイケメンさん。



あの人は一体······?



······というかどこに行けばいいの!?こんな迷路みたいな所迷うに決まってるし!



集合時間前に着いてもここで迷ってたら意味ないじゃん!



恥を忍んででも、さっき聞いておけばよかった。



うーんうーんと唸りながら頭を悩ませていると、突然誰かに腕を引かれて視界がぐらついた。
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