お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません!
「沙那〜!大きくなったなあ!色んなところが·····」



そこまで言いかけると、ぐへへと薄気味悪い笑みを浮かべて「いい身体になったなー」と舐め回すように私の体を観察する。



そんな中ある一点で目が止まり、ひたすらそこを凝視し始めたお兄ちゃん。



その視線は顔の少し下。もしやこれは······



「死ね変態。」

「ぐはっ······」



お兄ちゃんはあまりの痛みに耐えられなかったようで、綺麗に膝から崩れ落ちていた。もはや芸術だね。



ふふっ·····ざまあみやがれ!



お兄ちゃんが調子に乗ってる時はみぞおちチョップに限る。·····ちなみにこれはお母さんからのマル秘情報。



まさかもう効かないだろうと思ってたけど······ありがとうお母さん!役に立ったよ!



「ちーちゃん弱い·····」



そう言いながらくすくすと笑いをこらえる尚さん。·····この人、意外とSじゃない?



そんなことを思っていると、さっきのイケメンオネエさんがトコトコと小走りで駆け寄ってきた。



「あ〜!あなたが結城沙那さんね!電話に出てくれなかったらどうしようかと思ったわ〜!」



あそこにいる金髪野郎に無理やり携帯奪われたんですけどね、·····と言いたいところだけどややこしくなりそうだからこれは心の中に閉まっておこう。



「ホント良かった!手荒なことしないで済んで♡」



·····イケメンオネエさん、今サラッと怖いこと言わなかった?
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