お兄ちゃんが芸能人だなんて信じられません！

「私にはグランプリを取らなきゃいけない理由があります。」



私は東くんの目を真っ直ぐ見つめながら思いをぶつける。



「母さんのことか·····？」

「ん？ちーちゃんなんか言った？」

「··········いや、なんでもない。」



お兄ちゃんと尚さんの間で何やらひそひそと会話が交されている横で、東くんはふっと鼻を鳴らしながら私を嘲笑っている。



·····あれ？もしかして私、バカにされてる？



そして見下すような視線のまま、口を開く。



「まあいいけど。実力があればの話だけどね。」




「·····いっくん、あずの高圧的な態度はどうやったら直ると思う？」

「僕も知りたいくらいだよ。」



東くんが私に宣戦布告をする最中、そんな話し合いが行われていたことなんて私は知る由もない。