友達以上…
 飲み物を買って戻ってきた2人は、隣の空いたテーブルを寄せて4人がけの席にすると、2人並んで座った。

私は意味が分からななくて、2人を交互に眺める。

「実は、仁科(にしな)にはちゃんと紹介したくて…
 俺、先週から、原課長と付き合ってるんだ」

え?

「ごめんなさい、仁科さん。
 上司のこんな話、聞かされた方が迷惑だと
 思うんだけど、陸がどうしても親友の
 仁科さんには直接伝えたいって言うから」

陸……って呼ぶんだ。

憧れの原課長。
美人で仕事ができてかっこいい上司。
うちの部、唯一の女性課長。

なんで?

私はありえない現実を受け止めきれなくて、ぼんやりとその後の会話を聞く。

 30分ほどコーヒーを飲んで、他愛もない話をすると、陸は言った。

「じゃあ、もう俺は仁科とは映画
 行けないから、仁科も早く一緒に映画に
 行ってくれるいい男見つけろよ」

「……うん、そうだね」

私は思ってもいないのに、肯定の相槌を打つ。

そして、これから映画デートに行くという2人をこわばった笑顔で見送った。
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