偽りを捨てて。
……聞こうか。
「ねぇ……」
カタンっと有尾がもたれている柵が揺れた。
有尾は返事をしない。
その態度を見ると本当のようね。
……いや、あんまりこいつのことは知らないけど誰にでもこんな感じか。
「有尾くん……確か私のこと、嫌いって言ってたよね…」
少し目をやると有尾の肩が揺れた気がした。
「……あぁ」
そこは認めるんだね、ちょっと腹が立つけれどまぁ続けようかな。
「私、なにか有尾くんの気に触ることでもしたかな……?」
後ろを振り向くと、有尾もこっちを向いていた。
ここぞとばかりに悲しみに満ちた顔をしてみる。
良心があれば傷んでしまえばいいのに。
軽く演技をしていると。