偽りを捨てて。
「私とあんたじゃ積み上げてきたものが違うのよ」
そう、積み上げてきた、今までずっと。
こんなことがあっても柔軟に対応できるように。
どんなにみんなが嫌がることだって率先してやってきた。
みんなに気に入られる、望まれる素敵な存在になってきた。
「今のあんたと私とじゃ、みんなはどっちの言うことを強く信じるんだろうね?なんなら試してみてもいいんだけど?」
「おまっ……そういうことかよ」
「そうよ、私の頑張りは無駄じゃないわ」
有尾め、少し悔しそうな顔をしているけれどその顔をもっと歪めて欲しいものね。
無駄に動揺させてくれちゃって。
「はぁ、でも盲点だったわ。こんな面倒なやつが隣の席だったなんて」