偽りを捨てて。




「俺も隣のヤツがこんなに猫かぶりだとは思ってなかったっつーの」



「二人とも誤算ってワケね」



私にとって一番誤算だったのはあんたに気づかれた、いや人に気づかれたことだけど。



「というか、猫かぶりだなんてやめてくれる?世渡り上手って言ってくれるかしら」



「いや世渡り上手はいいのかよ」



有尾はそう言って笑っている。



「……おかしな奴」



あんたにおかしいって言われる覚えはないんだけど。



「……とにかく、このことは言わないでよね。って言ってもあんたも自分の立場危うくしないためには言わない方がためだけど」



「はぁ…どうしたもんかな」



「私はそろそろ保健室に行くから。サボったなんてバレたら私のイメージが台無しよ」



「またイメージかよ」



「……結局はそれが一番なのよ」



私はそれだけ言うと屋上をあとにした。






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