懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
招き入れられたと同時に雷がひと際大きな音を立てたものだから、里帆は咄嗟に亮介に抱きついた。
「すみません」
口では謝るが、手は離せない。里帆がぎゅっとしがみついていると、亮介は困ったようにクスンと鼻を鳴らした。
「そうされるとここから動けないから、いったん離してくれないかな」
「そ、そうですよね」
パッと離れた里帆の手を取り、亮介が指を絡ませた。誰かと手が触れ合っているだけでも安心感が違う。
亮介は手を堅く繋いだまま、里帆を部屋の中へ連れ立った。
その部屋はデラックスというだけあって、里帆がいた部屋の優に三倍はある。ソファセットも立派だし、ベッドサイズはダブルだ。
里帆は三人掛けのソファに座らされ、その隣に亮介が腰を下ろす。
「そんなに怖い?」
「一番苦手なものなんです」
顔を覗き込んだ亮介に、こくこくうなずきながら答えた。