懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「言いたいことがあるなら全部聞くから、俺の秘書が嫌になったなんて言うなよ?」
「秘書が嫌だなんて!」


それは絶対にない。最初こそ戸惑いはあったが、今は有能な彼の仕事ぶりを近くで見られるポジションにいるのを誇りに思っている。
ただ、自覚してしまったこの想いをどうしたらいいのかと持て余しているのだ。

このままあやふやな状態は心地いい反面、もどかしい。


「それならよかったよ。立川さん以外は却下するつもりだから」


仕事を評価してくれているのだろうと頭でわかっていても、その裏にある気持ちも勘繰って胸がドキンと音を立てる。おまけに顔まで赤くなるからたまらない。

そんなに意識するなよと、亮介も思っているに違いない。里帆の反応がわかっているくせに、彼は里帆の頭をポンとひと撫でした。
爽やかな笑顔つきでそんなことをするのは反則技もいいところ。これで好きのバロメーターが上がらない女子がいたら、ぜひとも会ってみたい。

里帆は亮介が再び歩きだしても、しばらく動けなかった。
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