懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

◇◇◇◇◇

二月も下旬の土曜日の午後。たまには自分へのご褒美をしようと由佳に誘われ、里帆はホテルのアフタヌーンティーに来ていた。

そこは以前、亮介がサプライズで里帆のバースデーを祝ってくれたフレンチレストランのあるホテルだ。
あの夜は敷居が高くて仕方がなかったのに、今日はそれほどでもない。二度目だから雰囲気に少しは慣れたのか。それとも亮介と一緒じゃないからなのか。

三階くらいまで吹き抜けになったロビーラウンジは、中庭に面した大きな窓が抜群の開放感だ。ひとり掛け用のエレガントなソファに腰を下ろし、座り心地のよさに体を預けた。


「高級ホテルにいるってだけでご褒美だよね」
「ほんとだね」


由佳の言葉に里帆がうなずいたタイミングで、三段のワゴンが運ばれてきた。


「わぁ、すごい素敵!」


思わずふたりで歓声をあげる。
ケーキやマカロン、色とりどりのスイーツはどれもかわいらしくデコレーションされており、種類も豊富。これでコーヒーや紅茶は飲み放題だというのだから、なんて顧客志向なのか。
どれから食べようかと迷って目移りする。
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