懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
里帆の仕草をひとつも見逃すものかといった様子で、由佳はじっと彼女を見つめる。
「副社長を好きだって、里帆の顔に書いてあるよ」
「えぇっ!?」
急いで両手で頬を隠してから、由佳の罠にかかったと気づいた。
そんなの書いてあるわけがない。あまりにもベタな引っかけすぎて自分が情けない。
由佳はお腹を押さえてアハハと笑った。
「……由佳の意地悪」
本当にひどいと、里帆は彼女に湿気を含んだ目を向ける。
「里帆がわかりやすすぎるの」
そう言われるとドキッとする。もしも本当にわかりやすいのだとしたら、亮介にもこの気持ちはバレバレなのではないか。
「それで大阪でなにがあったの?」
まだそこを突っ込む気らしい。由佳は里帆のほうへさらに顔を近づけた。