懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「うっそー」
「嘘じゃないってば」
「私が想像したのとは違うとしても、なにかはあったんでしょう?」
由佳はついさっき丸くしていた目を今度は細め、奥をキラッと光らせた。
そこまで探りを入れられれば、里帆だって隠し通せない。
「……副社長に『なんの我慢大会だよ。好きな女の子をこうしているのに、自制が利く俺を褒めてくれ』って言われた」
「え? え? 好きって、里帆を?」
糸のように細かった由佳の目が徐々に大きくなっていく。
「わかんない」
「やだなによ、わかんないって」
わからないものは、わからないのだ。
大阪の夜には告白じみたことを言ったくせに、その後はこれまで通り。そうかと思えば、自分の秘書には里帆以外は却下だと言う。
里帆は、おかしなほどに翻弄され通しなのだ。
「でも『こうしている』って、いったいなにしてたの?」