懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


そこは気にしてほしくなかった。スルーでよかったのに、由佳が鋭い質問を投げかける。
里帆が言葉に詰まっていると、三日月のように彼女の口角がぐっと上がった。


「怪しいなぁ、なにかいやらしいことでもしてたな」
「だ、だからしてないってば! 雷が怖くて、私が抱きついちゃっただけ」
「うわっ、大胆」


由佳に言われなくても里帆だってわかっている。よく亮介に抱きつけたものだ。


「本当にそれだけなの」
「でもそうかぁ。副社長、里帆を好きなのかぁ」
「だからそれはよくわからないんだって」


はっきり告白されたわけではない。


「でも、その言い方だと好きでしょ。両想いじゃないの」
「えっ?」
「里帆も好きなんでしょ? 冗談抜きで顔がそう言ってる」


さっきまでからかうような口調だったのに、諭すように優しく言う。
由佳に隠し事はきっと無理だ。
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