懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


三段ある階段を上った先にある部屋に大きなベッドがあり、鼓動がドクンと跳ねた。
振り返った亮介が里帆を引き寄せる。


「覚悟はいいか?」
「……はい」


緊張で声が上ずる。


「ま、よくないって言われても今さら引かないけど」


亮介は一瞬だけ浮かべた笑みをすぐに消し、唇を重ねた。里帆の強張りを解くように、優しく唇をすり合わせては啄む。
そうしているうちに余分な力は抜けていくものの、亮介とキスしている事実に今度は頭がくらくらしてくる。

こうなることを望んでここへ来たのは里帆。それなのに予想外に亮介の気持ちをぶつけられ、その想いに溺れそうだ。

足りない酸素を補おうと僅かに開いた唇の隙間から、亮介の舌が入り込んでくる。喉の奥に思わず引っ込めた舌は、たやすく絡め取られた。
ゆっくりとした動きがかえって官能的で、里帆をさりげなく煽る。唇から甘い吐息が漏れ、徐々に荒々しくなっていく亮介の舌の動きに必死に応えた。
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