懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


なだれ込むようにして倒れたベッドの上。追いかぶさるようにして両肘を突き、里帆を見下ろした亮介は、これまで見せたどの表情よりも煽情的で里帆はゾクゾクさせられた。


「副社長」


思わず呼びかけると、亮介がいたずらっぽく笑う。


「これから抱こうってときに副社長じゃ色気がないな」
「……名前で呼んだほうがいいですか?」
「そうしてくれ」


それは困った。副社長である上司を名前呼びするなんてハードルが高い。キスで翻弄されて高鳴った胸が、さらに早鐘を刻んでいく。


「ほら呼んで、里帆」


優しい声で催促されれば、従う以外にない。たぶん里帆は、亮介には抗えないのだ。


「亮介さん」


そっと呼んでみたら思いのほか面はゆい。亮介も少し照れたように見えるから、余計にくすぐったくなる。
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