懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「まずいな。俺、里帆を相当好きみたいだ」
うれしすぎる言葉が里帆の胸を幸せで満たしていく。
「私も大好きみたいです」
「〝みたい〟?」
不満そうな亮介が意地悪な顔をして見下ろす。
「でも亮介さんも〝みたい〟って」
「そんなふうに言ってない」
亮介は憮然としたように軽く唇を尖らせた。
そんな顔でさえ愛しい。でも、ついいたずら心が顔を覗かせて亮介に言い返す。
「言いましたよ」
「いや、言ってない」
「だって私、亮介さんの言葉、全部ここに残っていますから」
それは本当だ。これまでも、亮介と話したことはすべて耳に心に刻まれている。そう思い返して、ずいぶんと前から彼に心を奪われていたのだと改めて思う。
得意げに胸に手をあてると、亮介は観念したようにその手をとり、指を絡ませた。