懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
肘を突いたまま成島に目を向けると、ギョッとしたように彼が一瞬怯む。
「そんな恐ろしい顔をしてどうされましたか」
真っ暗闇にかけられた声がたとえ成島であっても、ついすがりつきたくなるというもの。
「立川里帆に会った」
ポツリとつぶやいた。
そもそも彼女とのただならぬ関係に最初に気づいたのは成島だった。
社内では絶対に内緒にしたいという里帆の意見を尊重して努めて秘密にしてきたが、鋭いのか成島には早々に感づかれたのだ。
嘘は性分に合わない。素直に認めた。それもうれしさを隠しきれずに。
そうだというのに――。
「そうですか」
成島は里帆に会ったことを告げても、なんら驚いた様子もない。
「どうされるんですか?」
「……どうとは?」