懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「どちらへ行かれるおつもりですか?」
「決まってるだろ」


里帆のところ以外にどこがある。


「ですが、これからお客様がお見えになる予定です」


成島の言葉に足を止めた。

マリオスターの主要相手先の中でも、一位二位を争う取引額のアパレルメーカーの社長が来社する予定だ。
約束の午前十時まであと二十分。今さらキャンセルはできないだろう。
間の悪さは自分が招いた罰だ。


「それを終えたら引き留めるなよ」


成島は目礼だけで答えた。
< 137 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop