懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
杏と話しているところに、見送りを終えた喜代がやって来た。
「亮介、心配いらないわ。私からよく話しておくから」
喜代は昔から亮介の味方だ。隆一と亮介がぶつかるたびに、いろいろと手を回して元の鞘に戻すのはお手の物。
だが今回ばかりは、隆一のあの頑なな心を変えるのは至難の業ではないか。
「父さんの気持ちを動かすのは、たぶん無理だよ」
「大丈夫よ、お兄ちゃん。お母さんと私で立ち向かえばなんてことないから」
杏まで軽く考えて便乗する。
「お相手の方、妊娠しているんだもの。早く入籍したほうがいいわ」
「えっ!? お兄ちゃん、子どもができたの!?」
喜代の発言に杏は落ちてしまうのではないかと心配するほど大きく目を開いた。
「それじゃ早く結婚してあげなくちゃ。お父さんが反対してるなんて言ってる場合じゃないよね。私、断然お兄ちゃんを応援するから」