懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


表情こそ崩さないが、成島がホッとしたように息を吐く気配がした。

里帆が手切れ金を受け取っていないと知ったうえで黙っていたくせにと、難癖をつけたくなる。

とはいえ、彼女を取り戻した今となっては、過ぎた話に過ぎない。ぐっと言葉を飲み込んだ。


「社長、ひとつお願いがあるんですが」


成島は神妙な顔をして一歩前へ足を出した。


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