懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
正式なプロポーズの夜
亮介が出勤してひとりになると、途端に時間を持て余す。くれぐれも無理はしないようにと彼に言われていたが、体調に問題がないため軽く部屋の掃除を済ませ、里帆は外出しようと身支度を整えた。
そういえば今日は、毎月買っているマタニティ情報誌の発売日。本屋にでも行こう。
そんなことを考えながらエントランスを歩いていると、コンシェルジュに呼び止められた。
セキュリティも万全なマンション。もしかしたら住人ではない里帆は、不審人物扱いなのかもしれない。
ヒヤッとしながら振り返ると、その女性はカウンターから出て里帆の前でかしこまった。
「外へお出になられますか?」
「……あ、はい」
なにを言われるのだろうかと身構える。
「お車をお呼びいたしましょうか?」
「……はい?」
どうして車の手配なんて。
不思議に思った里帆が首を傾げる。
「黒木様より、奥様のことをくれぐれもよろしくお願いしますと仰せつかっております」