懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

「お、奥様?」


思いがけない呼び方をされ、頬がポーッと熱くなる。
里帆を心配した亮介が、事前にコンシェルジュに依頼していったらしい。

女性は真面目な顔で里帆を見つめた。


「あ、いえ、大丈夫です。ちょっと近くの本屋さんへ行くだけですので」
「承知いたしました。十二時になりましたら、ご昼食をお部屋にお届けにあがります」


なんと食事の手配までしていたのか。
里帆が呆気にとられているうちに、女性は「なにかございましたら、なんなりとお申しつけくださいませ」とカウンターの中に下がった。

昨夜ここへ来てからというもの、亮介は里帆がなにかしようとすると「俺がやる」と言って素早く行動に移してしまう。至れり尽くせりなのだ。

ちょっと過保護だよなぁと思いつつ、そんな彼の行動がうれしくもあった。
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